2020/07/30 21:00

あれから20年。月日が経つのはあっという間だ。

自粛の夏。東京でオリンピックが開催されるはずだった2020年の夏。
誰もが忘れる事のできない夏だったはずだ。

大きなイベントが無くなり旅行もお出掛けも出来なくて、
夏の絵日記に描けるようなトピックスは何もなかったけど、
でもそれは悲しいだけの夏ではなかった。
小さな事が嬉しかったり、
いろんな発見があったり、
以前なら見過ごしてしまっていた様な、
普通だけど大切な事がたくさんあった。
そう言う事に気づく事が出来る夏でもあった。


引き出しから黒い箱を出して蓋を開けてそうっと中身を見てみた。
説明書には2〜3年程度と書いてあったけど、数年経ってもどうしても捨てられなかった。
手に取るとはらりと紫陽花の花びらが落ちてしまった。
けれど、手に取らずにはいられない。

この秋、娘はクラシックな洋館で家族だけの小さな結婚式を挙げる。
ドレスはアンティークな雰囲気のレースがあしらわれたシンプルな形のドレスを着るという。
相変わらず色の薄い細い髪には、やっぱりあの時のような優しい色のお花が似合うだろう。

またサプライズでお花を用意しよう。


※これはほぼフィクションです。